~一流ブランドのつくり方~

FITS LIVE vol.04 

開催レポート

Date: January 22, 2015   Edit: March 13, 2015

<登壇者> サッカー日本代表本田圭佑選手との商品開発プロジェクトの中心メンバー2名

 (マーケティング部 ブランドマネジメント)

広告代理店で勤務していたころにFITSに営業として出入りし、同時に出入りしていた化粧品会社の中で最も一緒に仕事をしていて楽しかったFITSへと2004年に転職。若くて元気で、何か新しい事をやろうという気概にあふれた会社だという印象は、FITSに入ってからもほとんど変わらないという。

入社後は、前職の経験を活かし宣伝販促部で活躍した後、営業部で営業推進チームを発足。

その後、マーケティング部/商品企画チームで現在マネージャーを務めている。

   O (マーケティング部 プロダクトプランニング)

新卒で入社したインターネット広告企業から2008年に中途入社。

業界業種ともに全く異なるFITSへの転身を決意した理由は、自分で手掛けた商品を国内外へ広めるというかねてからの夢を実現するため、そしてFITSにはチャレンジを厭わない風土がある確信できたから。

現在は、マネージャーとしてメンバーの育成、事業の基軸となる主力ブランドの複数のマネジメントへと邁進。その他にも法務部新設の際にはマーケティング部の立場から助言をしたり、海外進出のバックアップをしたり、業務の幅をさらに広げながら新たなチャレンジを続けている。

<ブランドマーケティングとは?>

W : 僕自身が大切にしているのは、『価値の提供』です。

 立場や会社、本によってもマーケティングの概念や役割、定義は異なってくると思いますが、僕自身が大切にしているのは『価値の提供』です。特に、FITSが扱っているのは、生きていく上では無くてもいい嗜好品なので、いかに魅力的に感じてもらえるか、欲しいな、買う価値があるなと感じてもらえるか、それを考える必要があります。

 たとえば、「かっこよく思われたい!」とか「可愛く見られたい!」とか、そういう日頃のモチベーションに役立つ価値があります。100円均一で売っている腕時計を付けるより、有名な高級腕時計を付ける方が、ビシッとしようと思えたりするじゃないですか。他にも、受験勉強をしていた時に聴いていた曲とか、その曲を聴くとその時を思い出すようなことってあるじゃないですか。それと同じで香水も、香りだけではない思い出という価値もあると思うんです。そういった『価値の提供』を、香りマーケットにおいてはとても大切にしています。

<サッカー日本代表 本田圭佑選手 との 「Leau’de DIAMOND」 開発秘話>

  【 2012年2月 : 本田選手との香水開発のはじまり 】

 はじめは本田さんの方から“香水を開発してみたい”という提案がありました。本田さんは移籍先のオランダで香水が当たり前の文化であることにショックを受けたそうで、それまで大和魂を大切にしていた本田さんもオランダに行ってからは髪を金髪にして、香水も日常的に使うようになったそうなんですね。

 本田さんはゴールを決めると胸のエンブレムにキスをするんですが、あのエンブレムには実は香水が吹きかけてあって、ゴールで高揚した自分をもう一度、その香りによって落ち着かせるためなんだそうです。

  【 2012年2月~4月 : 「市況」にあわせたマーケティング戦略の立案

 今回のマーケティング戦略立案のカギの1つは、FITS の会社としてのブランディングに貢献するマーケティング活動をすることでした。そしてもう1つが、市況(2014年ワールドカップ)に合わせたマーケティング活動を心がけること。世界的なスポーツの祭典に本田選手が出るということは、海外への自社製品発信のチャンスでもありましたし、そんな本田さんが使っている香水ということで、今まであまり香水に興味のなかった方にもアプローチできるのではないかと考えていたからです。[中略]

 マーケティングにおいてタイミングは非常に大切です。商品の発売時期を考えるときも、W杯最終予選の6月4日に合わせて、2013年6月と決めました。もしこのタイミングでW杯出場が決まって、同じタイミングで今回の商品も発売できれば、絶対に商品も売れるだろうと予測していましたし、本田さんの誕生日も6月14日ということで、何としてでもここで発売したい!と強く思いました。

  【 2012年8月 : “絶対に負けられない戦い”商品開発のスタート

 本来商品開発には1年間、最低でも10カ月は時間が必要なのですが、当時はすでに発売まで10カ月しかない状態で、時間的には相当厳しい状況でした。ただ、この企画には社運もかかっていましたし、全員がベストを尽くしてその価値の最大化を目指しました。そして、6月の発売に何としてでも間に合わせる、本田さんにとっても私たちにとっても“絶対に負けられない戦い”となったのです。この危機感とプレッシャーは私にとっても非常に大きいものでした。

  【 2012年12月 : 最初で最後の本田選手への直接プレゼンテーション 】

 年末にはじめてご本人の前で、コンセプト・香り・デザインの方向性をプレゼンする機会を頂き、とある有名ホテルのスイートルームに通されました。

 (※ イベントではこのとき実際に使用したプレゼン資料の一部を使いながら講演をして頂きました ※)

 DIAMONDという商品のネーミングには、世界一“硬い石”であるダイアモンドと“固い意志”という2つをかけて、本田選手を表現するというコンセプトを込めました。DIAMONDと聞くと、女性が身につけるジュエリーをイメージするので、本田さんが気に入って下さるか懸念もありましたが、本田さんご自身はDIAMONDのもつ“世界一”というワードに大変共感し、気に入って下さいました。

 ロゴやボトルのデザインも用意してきた複数の案を提案し、「これがいい!」と言っていただいたものを採用しました。

  【 2012年5月~ 月 : 最もこだわり抜いた“香り”の開発

 “香りNO.1”を掲げているFITSの腕の見せ所、香りの開発には徹底的にこだわりました。どんなにボトルやパッケージがかっこよくても、香りが良くなければ香水は売れません。商品の開発は8月からでしたが、香りの開発自体は実は5月からスタートをしていて、本田さんご本人とお会いする機会がない中、ほとんど想像とこれまでの経験だけを頼りに開発を進めてきていました。

 プレゼン当日は6種類の香りを用意していたんですが、本田選手にムエット(香水の試香紙)は似合わないということで、ワイングラスに入れた綿に香水をつけてワインのテイスティングのように香りを味わっていただくという演出を考えました。そして、リミテッドという黒いボトルの限定商品の香りはこのとき決まりました。

 通常版の白いボトルの香りは、期日ギリギリまで本田さんに2つの香りで悩みぬいていただき、最後は1ヶ月ほど日常でも使っていただいて最終的な香りが決まりました。

 香りが決まった後は、一つでも事故が起こったら間に合わない・・・という危機感の中、毎日ハラハラしながら納期まで突っ走りましたね。結果として、史上最高の本数の出荷を叩き出して、歴史を塗り替える商品を作ることが出来たことは、自分としてもすごく誇らしく思っています。

  【 宣伝販促戦略とメディアの巻き込み方

 宣伝販促の戦略については、発売してからの時期とそれに伴う顧客層の変化を想定して、どこで/いつ宣伝販促を行うかなど検討しました。本田さんのファンが集まるのはスタジアムなので、最終予選の時には、実際にスタジアムに出向き、現地での宣伝販促も行いました。[中略]

 スタジアムの中で試合を見ることができなかったのは残念でしたが、池袋に戻り、プロジェクトメンバー4人全員で試合を観戦し、見事その試合でW杯出場が決まったときは、みんなで抱き合って喜びましたね。


 そして、本来香水は映像では訴求しづらく、テレビではなかなか取り上げて頂くことができないのですが、このタイミングにおいてはいくつものキー局ワイドショーで商品が紹介されました。結果として、累計出荷本数20万本を記録することが出来ました。

 (※香水は3万本売れればヒット商品と言われています。)

 今後はこのロードダイアモンドを、香りマーケットを牽引する商品として、ベストセラーからロングセラーへと育てていきたいと考えています。

<質疑応答>

  Q : モノづくりにおいて、大切なことはなんですか?

O : 大切なのは、「妥協しないこと」です。 

 一つの商品を開発する際でも、わたしは約50種類の香りを用意します。ロゴ・ボトル・パッケージのデザインに関しても10~20種類くらいのものを用意し、その中で私はこれがいい!と思ったものを選び、さらに会社として自信を持って世に出せるようにプロセスを踏みます。それが当たりか外れかは実際に売ってみないと分かりませんが、自分が「いける!」と思ったモノにはそれだけの熱を持ってプレゼンテーションすることができますよね。

  Q : 価格設定はどのように行うのですか?

 W : 既存の他社ブランドの顧客を獲得しに行く価格戦略と

 新規の顧客を開拓する価格戦略では、手法が変わってきますね。

 ロードダイアモンドの値段は約3000円ですが、これは元々本田さんを通して、普段香水をあまり使わない人に手軽に手に取ってもらいたいと思って商品を作っていったので、この価格設定になりました。

  Q : もしあの時、本田さんがPKを決めていなかったら…ということは考えていましたか?

  W : 当時のリアルな状態と今振り返るのとでは見方が大きく異なります。

 リアルなブランディング・マーケティング活動というのはいわば“動画”で、学問や後の評価、学ぶことというのは“静止画”なんですよね。本に書いてあることは、すべて過去のことですし、当時は色々な状況を想定しながらも、可能性の一番高い道を邁進しながら、臨機応変に対応していくしかありませんでした。

 実際、未来の事は誰にもわかりません。ただ上手くいくための確率を上げていくしかないので、仮説を立てて、こうだ!とやっていくんです。すごく不安なことですが、いくつかの道を想定した上で、そのうちの一つの可能性を信じてどれだけ邁進できるかがとても大切だと思います。

  Q : 仕事をする上でのやりがいはなんですか

  O : やりがいは自分の人生において仕事をする意味だと思っています。

 FITSに入る前はFITSの商品をあまり知らないまま入ったんですが、そういった無名な0のものを100、200にしていくプロセスって面白そうだなと思ったのが、FITSに興味持ったきっかけでした。0からモノを作っていくのはとても大変だし、窮屈な思いもたくさんするんですが、その分知恵を絞って、ヒントを考えなければならないという風に追いやられる、というか…そういった場面に出くわすことで、より考えるようになります。[中略]

 色々な苦労はありますが、実際に商品の売れ行きだったり、店頭に立って販売していて、お客様の生の反応を受け取った時にそれまでの苦労が忘れられるくらい嬉しいんです。このためにやってきたんだっていうのがやりがいに変わった瞬間でした。次もまたこうやって人に喜んでほしいというのをモチベーションにやっています。

ご来場ありがとうございました!またのお越しをお待ちしています!

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